「南京の真実」が完成したらしい

あびるんは早速見てきたそうだ。

http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/422810

そんなこんなで、あびるんのブログを引用しながら、縷々突っ込んでいきますわ。

 水島氏は、この映画に対する拒否反応が各所で大変多かったことについて話していました。撮影スタジオから、役者の控え室に「南京の真実」という映画名を書かないでくれと言われた話や、巣鴨プリズン跡地前での撮影が2週間ペンディングにされたことなど、いろいろなエピソードを指摘し、「連合赤軍の映画は簡単につくれても、この映画は大変だった」と語っていました。日本という国の言語空間が現在、どういう状況にあるのかがよく分かります。あいかわらず、GHQの敷いた言論コードにのっとっていないと排斥されるというわけです。日本人の主張、歴史観は許容しないという「戦後レジーム」は強固に日本社会を支配していますね。

そりゃ「氷雪の門」や「人間革命」だって拒否反応も大きかっただろうし、「シベリア超特急」や「ウォータームーン」「スパルタの海」を自身のフィルモグラフィーに入れてない出演役者さんも多数いらっしゃるわけでして。いろんな「オトナの都合」ででなきゃならん人も良心の呵責ってものがあるだろうしなあ。
それにしても簡単に作れた連合赤軍映画って「突入せよ!あさま山荘」しかしらないのですが、なんか他にあったのかもしれないな。長谷川和彦氏は何年も準備しているそうですがいまだにできていないし、光の雨は劇中劇でお茶を濁し、ようやく若松孝二氏が「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」を先ほど完成させた、と見るといかに上記の水島氏の発言が世迷言かということがよくわかりますな。

 さて、この日は本来、映画第一部の完成試写会が行われる予定でしたが、諸所の事情で完成試写会は来年1月25日に延期されたそうです。それで今回は、20数分の特別予告編が上映されました。私は、これを観て、かなりのインパクト、訴求力のある映画となっていると確信しました。海外でも、良くも悪くも大きな反響があることは間違いないと思います。

そういや皇籍復帰キャンペーンのFlashをつくるって出資者から金ふんだくった癖に、Flashを公開するどころか、ほっかむりを決め込んで遁走している人がネット上で見受けられたが、なんとなくそれに近いニュアンスも感じられたりられなかったり。12月に公開するって豪語しておきながら「この日は本来、映画第一部の完成試写会が行われる予定でしたが、諸所の事情で完成試写会は来年1月25日に延期された」というこの体たらく。両者の間にはなぜか不思議なシンクロニシティを感じるけれども、おそらくそれは愚か者の気のせい、ということなのだろう。

 予告編ですから本編とは異なるでしょうが、いわゆるA級戦犯とされた7人の挿話の合間に、東京大空襲、広島・長崎の原爆投下、日本軍の南京入城、日本軍入城後、爆竹で楽しげに遊ぶ中国の子供たちの笑顔、東京裁判の模様…などの記録フィルムがはさまれ、説得力を増しているようです。米国による空襲、原爆で焼け死んだ人たちの、あまり目にすることのないくらいむごたらしい記録写真も出てきます。しかし、目をそらさずにしっかりと見て、記憶しないといけないと感じました。

 特に、東京裁判で日本側の米人弁護士、ブレイクニー氏が米国による原爆投下に言及し、「戦争は合法的だから、戦争での殺人は罪にならない」と指摘したうえで、「(訴因の一つの)真珠湾爆撃による米軍人の死が殺人罪になるならば、われわれは広島に原爆を投下した者の名を挙げることができる。(中略)何の罪科で、いかなる証拠で、戦争による殺人が違法なのか。原爆を投下した者がいる。この投下を計画し、その実行を命じ、これを黙認した者がいる。その人たちが裁いている!」と訴えるシーンはスクリーンで見ると圧巻でした。この部分は、GHQ側により裁判記録からカットされ、長く知られていなかった有名なくだりですね。

するとこの映画は、南京大虐殺の真偽を問う!というようなものではなく、「連合国軍だって原爆落としたりしてんだから同胞も無罪だろ」みたいな主張を地味に展開する映画になると思えるんだが、だがちょっと待って欲しい。まさか「南京大虐殺」と「ヒロシマナガサキへの原爆投下」を同列に扱うの?ふざけんな!ネット右翼としては許せない主張ですよこれは。それじゃ朝日新聞と同じじゃないですか!(まあ産経新聞は40万人説を唱えているからその筋の間では妥当なのかもしれないが。)それはさておき、なんていうか、南京で戦う日本兵の雄姿を大スペクタクルで映し出し、便衣兵をバッタバッタとやっつける(ネトウヨ大喜び!)な内容を予想したのに、それとは程遠く(あびるんの文章を読む限りでは)どうも劣化版「プライド」やらネトウヨ版「大日本帝国」みたいな感じでなんともヘタレな印象。ヌルい映画だな。(そういや「明日への遺言」も近々公開されるんだった。)これなら東中野センセイと西尾幹二御大、渡部昇一大センセイにご登場願ってドキュメント「“南京の真実”の真実」でもつくって欲しいものだ。(加えて友情出演として田中正明氏にイオンド大学元教授の肩書きでライブラリ出演してもらえればいうことなし)そして総力を結集して秦郁彦氏の「4万人説」を媚びてんじゃねえぞと全力で叩いて欲しい。東中野センセイが「パネルは偽造」と糾弾し、西尾幹二オンタイが「教育委員会日教組の策略である(もちろんその背後にはGHQが!)」と訴え、渡部昇一大センセイが「盧溝橋事変から南京にいたるまでこれ中共の謀略である」と熱弁を振るう。そんな映画なら1円ぐらい出資してもいいし、3000円ぐらい払って見に行ってやってもいい。おそらく今の「南京の真実」よりはずっとずっと見たいと思う人も多いだろう。(「ベルリン陥落」「明治天皇と日露大戦争」を喜ぶ層には確実にウケると思う。あとはプロパガンダ映画好きとか)

まあなにはともあれ大切なのは寺田農、「肉弾」でてたのにどういうことだよバカヤローってことなんです。