みんな「空気」と「オオエ」のせい

ひでえ話だな。

日本軍「強制」、復活せず=沖縄戦集団自決で教科書6社の訂正申請承認−文科省
http://www.jiji.com/jc/zc?key=&k=200712/2007122600466&rel=j&g=soc

教科書検定:評価と批判交錯 「一歩前進」「歪曲だ」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071227k0000m040140000c.html

教科書検定:集団自決問題 「日本軍関与」が復活 「強制」は認めず−−検定審
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20071227ddm001040083000c.html

軍命令があった、という記述についてはスルーですか。
さすが「つくる会」に近い人物がいる、という審議会。最終防衛ラインは「軍命令」の明記らしい。

特に酷いのはコチラ。

教科書検定:「重大な汚点」…つくる会抗議声明
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071227k0000m040128000c.html

 新しい歴史教科書をつくる会藤岡信勝会長)は26日、今回の教科書検定結果について「文科省は政治的圧力に屈して、検定制度の根幹を揺るがすという重大な汚点を残した」と抗議声明を出した。

 つくる会は今回の問題で、文科相に教科書会社から出された訂正申請に応じないよう計4回、意見書を提出していた。

 声明は「文科省が事実上検定意見を撤回し、軍の『強制』記述の復活を認めたものである」と強く批判した。藤岡会長は「審議経過を全面的に明らかにすべきだ」と審議会に注文をつけた。

毎日新聞 2007年12月26日 22時47分

マッタク何をおっしゃるうさぎさん。圧力かけたんは一体どっちよ?4回もロビー活動を行い、県民集会はまぼろし説を喧伝し、ようやく「最終防衛ライン」を死守ですか。審議過程を明らかにすべき、なんてよく言うよ。ご自身が一番ご存知では?

では本当に「軍命令」があったかなかったのか。

「軍命令」よりももっと不確かで絶対的な存在がある。それは日本人を縛りつけ、曖昧に統制しているもの。

そうだ。「空気」はいつだってこの日本を支配している。

明確な「命令」がなければ認められない、というのはなにも戦時中のことばかりではない。例えば、現在も過労死による労災を主張しても企業は平気で「勝手に働いていた」ぐらいのことはいうし、またパワハラやセクハラだって自主退職がほとんどである。事実上追い込まれた側が「これ以上耐えられない」といってやめていく。そこで裁判を起こしたとしても、パワハラやセクハラをした側は責任を認めることはほとんどの場合ありえない。「やめろとはいってない」そんな話でどうやって納得しろというのだろう。

第三十二軍の方針の元、島民の多くは軍属や防衛隊として駆り出され、親や子を連れて逃げ延び、子や老人が泣けば、米兵に見つかるからと日本兵は毒の入ったおむすびを差し出す。住んでいた場所は戦場となり、帰るところも家族も失った。投降を呼びかければ日本兵に殺され、米兵につかまれば男は殺され、女は辱めをうける、そんな「空気」が充満する中、島民にはどういう選択肢があったというのだろうか。

よくわからんのは軍命令があった、強制された、というようなこと書くと「日本軍は規律正しかった」(でも小平義雄みたいな奴もいたよね?小平は中国戦線で中国人婦女子を強姦殺人したと自供しているんだが勲章もらって除隊している)といってくる人がいること。そのことと軍命令、強制があった、ということは全くつながらないと思うけれども。渡嘉敷島集団自決問題で訴訟を起こしている赤松隊なんて8/17という「終戦後」に投降を呼びかけた現地少年を殺害している。よしんば「集団自決を強制しなかった」としても、別な形の「罪」を犯していると思うのは私だけだろうか。日本軍を過剰に美化し「起きたこと」に目を向けないのは結局のところ過剰に貶めているのと同一義である。日本軍は規律正しく民衆を圧迫せず下は上を慕い上は下をかばい、なんつー「美しい」世界であったなどと本気で考えているのなら、異国の地で無残無念の中草臥れていった靖国の英霊にどのツラ下げて参拝できるのか。実態を見ずに美辞麗句を並べ立てるなぞ恥ずかしいとは思わんのかね。

審議会には「新しい歴史教科書をつくる会」とつながりのある委員が入っているという。それが今回の検定にどういう影響を及ぼしたのか。もしこれが逆に「国家命令により従軍慰安婦が集められた」「南京大虐殺で40万人が犠牲になった」(某新聞の主張)という記述が、日教組と関係の深い委員のいる審議会で実質的な審議なしに採用された、となったらネトウヨさんたちはどうするんだろうか。個人的には今回の検定については非常にきな臭い「ある意図」を感じざるを得ない。

それにしてもこの件で「つくる会」側の主張を丸呑みしているとしか思えないことを書き連ねている人に言いたい。戦時訓じゃなくて戦陣訓です。それぐらいきちんと覚えてから大江健三郎についてぐだぐだいえっての。