産経新聞が今回防衛省を叩く理由がやっとわかった

なだしおのときの主張、あるいはえひめ丸事件での産経抄、守屋事務次官事件での主張正論および産経抄での展開を見るにつけ、今回のイージス官事件でも当然の事ながら「遺族は国防のために黙って引き下がれ。お国のためだ」ぐらいのことを言うだろうと思っていたが、今朝の産経ショウは「空白の12分間を思うと怒りに震える」ぐらいのことを書いてあるしどうしたんだろと思っていたが(心を入れ替えて国民のための木鐸たらんとしたのだろうなんてことは一切考えない。部数獲得のためなりふり構わなくなっているんだろとは思うけど。相当ヤバイみたいですし)、実に簡単な理由だった。単に福田首相への批判、そしてあわよくば首相から引き摺り下ろそうとしているのだろう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080220-00000069-san-pol

イージス艦衝突 防衛省、止まらぬ失態
2月20日8時2分配信 産経新聞


 守屋武昌前防衛事務次官収賄事件はじめ不祥事がきびすを接して起きている防衛省自衛隊を、今度は国民の生命にかかわる重大事故という衝撃が襲った。最新鋭イージス艦「あたご」の監視態勢のあり方に加え、福田康夫首相への連絡が2時間もかかるという危機管理官庁としての資質までも問われる事態となった。与野党から石破茂防衛相の責任論も浮上しており、「起きるはずがない事故」が福田内閣に与えるダメージは決して小さくない。

 防衛省自衛隊では昨年、イージス艦中枢情報漏えい事件やインド洋での海上自衛隊による補給活動をめぐる給油量取り違え問題など不祥事が相次いだことを受け、政府は首相官邸主導の形で防衛省改革会議を設置し、組織改編など同省の抜本改革を検討している。そのさなかに起きた事故に、防衛省幹部の1人は「なだしお事故の再来だ。今までの不祥事とは重みが違う」と危機感をあらわにした。

 昭和63年、神奈川県横須賀沖で潜水艦「なだしお」と遊漁船が衝突した事故では、遊漁船の乗員・乗客30人が死亡した。自衛隊への批判が高まり、当時の瓦力防衛庁長官引責辞任に追い込まれた。

 石破氏は19日の記者会見で自らの責任について「どうしてこういう事故が起こったかについて、正確に把握するのが現時点で私が果たすべき職責だ」と述べた。しかし、野党が国会で石破氏の責任を追及する構えをみせている。さらに、身内の自民党幹部も石破氏が防衛省の連絡遅れを強く批判したことに「最悪の対応だ。組織の長としてやってはいけないことだ」と語り、閣僚としての資質に疑問を呈した。

 今回の事故が自衛隊の「最高指揮官」である首相の政権運営に影を落とすことは否定できない。

 就任以来、「福田カラー」を打ち出せない首相は逆に、年金記録漏れ問題などに見舞われ、内閣支持率は低空飛行を余儀なくされている。その折の衝突事故は「首相にとって泣きっ面にハチ」(自民党中堅)となった。

 首相は19日夕、首相官邸で記者団に対し「改善策はある。そういう意識を持ってもらわないといけない。自衛隊防衛省が、何が大事か考え、どう対応すべきかも考えてほしい」と述べた。

 首相は終日、いらだちを隠せなかったが、自民党内には「首相の言葉は他人事にも聞こえる」(中堅)との声が漏れた。(加納宏幸、杉本康士)

なるほどねえ…。元々リベラルな発言が多々ある上に安倍政権にも批判的な石破防衛大臣防衛省改革も産経がイヤーな方向ですすめようとしているし)であるし、ここで彼を批判し、引責辞任へもっていけば、うまくいけば任命責任とかなんとかアレな理由(理屈とトクホンはどこにでもくっつくといいますな)をつけて福田総理大臣の退陣も狙えるかもしれんとまあ風が吹けば桶屋が儲かるとばかりに、普段「国益を損ねるな」やら「政治利用するな」などとほざきながら自ら「いける」と思ったら鰯の頭も動員する始末。それはさておき、こうして間接的に指導力、牽引力のない福田首相を暗に批判する意味がたぶんにこめられているからこそ、いつもはあんなにかばう自衛隊防衛省なのにここまで追求できるわけですか。
それにしても自民党幹部の言い草はすごいな。“さらに、身内の自民党幹部も石破氏が防衛省の連絡遅れを強く批判したことに「最悪の対応だ。組織の長としてやってはいけないことだ」と語り、閣僚としての資質に疑問を呈した。”って…。身内なんだから徹底的にかばえという内容しか読み取れないが、こんな的外れな「政治センスゼロ」なことを言う自民党幹部は伊吹文明ぐらいしか思いつかないがきっとそうだろうな。こういう場合のマスコミ報道で「自民党幹部」が二重語法として誰をさすのかをさておいても、だ。

石破大臣はおそらく引責辞任することは逃れ得ないだろうが、やることはきっちりやってから去っていって欲しいものだ。たぶんに語弊がある表現とは重々承知の上であえて書くが、小池百合子氏のときに起こらなかったのが不幸中の幸いともいえるのではないだろうか。