「田母神元幕僚長にイグノーベル賞を!」ってのは別にヘンな話でも間違った話でもないだろってこと。

ある人のところで「田母神氏にイグノーベル賞ってどうでしょう?」とコメントした人がいたのだが、「イグノーベル賞馬鹿にスンナヽ(`Д´)ノ あれは科学的に見て面白く、さらには考えさせられるもので無ければ受賞できません。 」と即座に否定されてしまっていた。だが実際そうなんだろうか。

イグノーベル賞というとなぜか「科学的に見て面白く…」となぜか「科学的」な側面ばかり強調されるけど、実際はもっと多様で、経済学賞も文学賞も平和賞もあるし、その年だけ新設される賞もある。そういう意味ではアカデミー賞におけるゴールデンラズベリー賞と似てる。

日本では「なぜか」科学賞的なものしか紹介されないが、実際には


1994年
文学賞
L・ロン・ハバード (熱烈なSF作家、サイエントロジー創始者)
人類にとって(あるいはその一部にとって)非常に有益かもしれない彼のパリっとした聖書、『ダイアネティックス』に対して。

1996年
平和賞
ジャック・シラク(フランス大統領)
ヒロシマの50周年を記念し、太平洋上で核実験を行ったことに対して。
1995年9月から1996年1月まで6回もの核実験をムルロア環礁で実施。

文学賞
「ソーシャル・テキスト」誌の編集者
彼らが理解できなかった、著者の言っていることに全く意味が無く、さらに「現実なんて実在しないのだ」と主張する研究を、熱心に出版したことに対して。
物理学者アラン・ソーカルが、ポストモダン哲学者らや社会学者が数学や理論物理学を理解しないままその用語を出鱈目に流用していることをからかうために書いたイタズラ論文を、当時最も権威あるポストモダンカルチュラル・スタディーズなどの哲学雑誌であった同誌に投稿し、それがパロディであることを見抜けるかどうかを試した結果、同誌が真面目な論文としてそのまま掲載してしまったこと(ソーカル事件)を揶揄している。

2000年
経済学賞
文鮮明師(韓国)
効率と安定成長を集団結婚産業に持ち込んだことに対して。彼の報告によると、1960年には36組、1968年に430組、1975年に1800組、1982年に6000組、1992年に30,000組、1995年に360,000組、1997年に36,000,000組が結婚している。
文鮮明師は、統一教会の教祖。

2001年
天体物理学賞
ジャック・ヴァン・インプ、レクセラ・ヴァン・インプ(ミシガン州ロチェスターヒルズ、布教団体ジャック・ヴァン・インプ・ミニストリーズ)
ブラックホールが地獄の所在地としての技術的要求を全て満たしている、という発見に対して。

イグノーベル賞受賞者一覧より

このように科学的でも論文でもないことに対して賞が与えられたりしている。もっと自由なことがわかる。受賞者を丹念におっていくと、皮肉や当てこすりも感じられて非常に面白い。このあたりどうも最初に誤報?したマスコミのせいなのかもしれないけれども、こういう結果を見てもわかるとおり、イグノーベル賞は本来多様であり、速報性のあるもの。だから田母神氏を「推薦」したって別にオカシナ話ではないように思う。(イギリス海軍だって受賞しているしありえないことではない)できれば平和賞を希望したい。受賞理由は「自衛隊トップの頭の具合がどれほどであるかを身をもって日本人に知らしめ、憲法九条改正への危機意識を高め、自衛隊について真剣に考えるきっかけを与えてくれた功績に対して」なんてのはどうだろう。(もっとイカシタ受賞理由があるだろ!ってひとはコメント欄で教えてください)

まあ、このての皮肉って日本人から見たら一番理解しづらいものなのかもしれないなと個人的には思ったりしました。