それにしてもわからないのは

証人喚問が終わり、終息にむかいつつあるかのようにみえる田母神論文騒動だが、それにしてもわからないのはなぜ彼が今あの論文を発表したのか、である。

もちろんAPAが書いてくれといったから、というのはナシ。書いてくれといわれても懸賞論文で、まさか幕僚長ともあろう人間が「たかだか」300万程度に心引かれて自分の地位を棒に振る覚悟をするわけもあるまい。また無事定年退職した後に歴史観を開陳したとしても決して遅くはないし、現在の不名誉な状態となるよりもよほど元の肩書きを生かした「就職活動」が出来るはずである。(それこそAPAグループの顧問かなんかに納まっても、いまよりもずっと注目されずにスムーズだったと思うのだが)こんな危ない橋を渡ったらそれこそ「拓大教授就任」だってアヤシイものである。

就任中に政治的発言をして解雇というと、元レバノン大使の天木氏を想起するが、氏の場合ははイラク戦争開戦前夜ということもあり、これは非常にわかりやすい緊急性がある。ところが今回は「侵略戦争ではない」とか「アメリカはコミンテルンに動かされていた。」だとか、どう贔屓目に見ても緊急性があるとはとても言いがたい内容である。(例えば非難決議が次々と出されていたり、「事実」広告を掲載したときならまだしも、いまはとてもそうとは言い難い。麻生総理が村山談話を踏襲するのはわかりきった話でそこに危機感をもつのは整合性がない)

なぜ就任中に行わなければならなかったのだろうか。考えれば考えるほどわからない。ある仮定をもってはいるが、ちょっと論理的に弱すぎるのでここでは言及しない。


※ちなみにちょっとだけ述べると、もしかしたら田母神氏にはもっとヤヴァイネタがあって、それを隠すためにあえてああいう自爆をしたのかなということとAPAの頼みを断りきれないほどの「借り」があった?とかそのあたりのことなんだが、これだとあまりにも陰謀論だし、整合性がない。