ドキュメントナウのホームレス特集を見て

最近またドキュメントブームが自分の中にやってきている。

ドキュメントは「いまここ」を切り取っているため、昔のものを見ても今のものを見てもやはり面白い。オススメは「ドキュメントナウ」「CBSドキュメント」「NNNドキュメント」など深夜に打ち棄てられたように放映している番組である。水曜ドキュメントなんて変な番組をやるのだったら「ドキュメントナウ」か「CBSドキュメント」を放映すればいいのに。

さすがにリアルタイムで見ることは出来ないので、ある程度録りためてから見るようにしている。先日見たドキュメントナウは多摩川河川敷で起きたホームレス襲撃事件を紹介しながら、事件現場周辺に暮らすホームレスにインタビューするという内容だった。アルミ缶をどのように回収して、どうやって潰しているのかという様子を撮影したりインタビューする際も同じ目線にまで降りてなるべく生の声を拾うようにしていたりと彼らの生活に寄り添う姿勢に好感が持てる。現在彼らの収入源はアルミ缶集めのようで、それもどんどん値が下がっているという。1キロあたりの交換対価は驚くよりもむしろ憂鬱になる額だ。彼らは黙って山と積んだ缶を黙々と潰している。冷たい雨の中、作業は続いた。

あるテントの主に話しかけたところ、その人には明らかに沖縄訛りがあった。訛りがあるということは、沖縄の、どの島の生まれか知らないが、それから流れ流れてここまできたのだろう。沖縄の方がまだ住みやすいだろうに。ふとりゅうたん池の亀だらけのドブ水で洗濯をしていたホームレスを思い出した。胸が痛む。暖かい故郷を離れて冷たい河川敷の、堆積物のにおいを薄いテント越しに感じる日々のなかで、「十九の春」が彼の中でよみがえることはあるのだろうか。

働いたことなんて一度もないよ、という老人も登場したし、もういつ死んだっていいんだと穏やかな顔で語る人も画面に映し出される。彼らに共通するのはある種の強い諦観だが、時折それを「生来のものだ」としたがる人がいる。でも私は果たしてそうとばかりは言い切れないのではないかと思うのだ。働きたい人が働けないままずるずると下降していく社会。その縮図はいつだってこんな風に現れる。

短いがよくまとまっていて、寄り添う姿勢に好感が持てる番組だった。