よい政治利用悪い政治利用フツーの政治利用

小倉先生とはいくつかの点で意見が合わないことがあるが、是々非々で評価すべきであると思うのはこういうときだ。

目の前の500人のためだけでなく、背景にいる数万人、数十万人のためにできること
http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2009/01/500-89d2.html

 木村剛さんや池田信夫先生が、派遣村日比谷公園にテントを張ったことに政治性を感じ取ったことは正当ですが、それをネガティブにみることは妥当ではないでしょう。そこに集まった意図が年末年始を過ごすというだけが問題ならばテントは水元公園に張っても良かったのでしょうが、企業が派遣労働者を簡単に切り捨て政府もこれを見捨てる政策に変更を迫るためには水元公園では不十分であって、マスメディアの目に触れやすい地を選ぶ必要があったわけです。それは、そこに集まった500人のためだけでなく、その背景にいる数万人、数十万人の失業者並びに非正規雇用労働者のための選択だったと思われます。

まさに、おっしゃるとおり、ですね。

なにやら誤解した人もいるようだが、チベット問題のときに新風やネット右翼を批判したのは結局彼らがネガティブな意味で「政治利用」(中国や韓国への攻撃材料として)しようとしていたことに対して「右翼の立場から」批判しようと思ったからである。情けないじゃないか。何度も書くが戦前の右翼は朝鮮の民も清国の苦しむ民も、そして日本の困窮する民も(もちろんいろんな反論はあるだろうけれどあえて書く)救おうとした。だがいまのネットウヨクは(チャンネル桜含め)韓国や北朝鮮、中国を叩ければいいだけで、皇室への尊敬もなく(雅子妃殿下に対してあそこまで悪辣にいう左翼もなかなかいないぞ)自国民には「自己責任」で対応する。その辺が「ちがうんじゃないの?もっと昔の右翼みたいに民族派として活動しようよ」といいたくなってしまうゆえんである。まあ彼らの行動原理が「サヨク嫌い」レベルで終始しているような現状を見ると、いってもせんないかなという気はするが。

今回の「派遣村運動」はいまのところ「反貧困」「派遣切りした社員を救え」というスローガンから大きく逸脱しているようには見えない。もしここで湯浅氏ら「もやい」関係者やその支援団体が「公明党政教分離の原則に立ち返れ」とか「天皇制打倒」「9条を守れ」と声高に主張し始めたら私は批判する。だが湯浅氏ら「もやい」関係者からそのような声は見たあたらず、また空気の読めない「9条守れ」といった護憲派(なんで「憲法を守れ」じゃいけないんでしょうかね?それならばまだ意味がわかるけれども)も前面に出てくることはない。なにか公園ではそんなタスキがけした人が一人ビラまいたりしているみたいだけど。そういうわけで集まった団体にはアレ?と思うところもあるが、それでも彼らはその主張を抑えて「派遣村の意義」を押したてているようだ。それならばいいではないか。もし今後違う動きが出てきたようならばそれはそれでまた別途批判しますけれども。

で、なぜ私が「右翼」に対して厳しいのかというとそれは私の自己認識が「右翼」にあるからであって、「身内」がきちんと批判しないとサヨクから「右翼は自分に甘い」と非難されてしまうのは悔しいじゃないですか、ということなんです。「身内」が厳しくしないでどうする。