やっぱりでたよ産経新聞「政治色ちらつく派遣村!」記事

検証・「年越し派遣村
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090112/trd0901122133016-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090112/trd0901122133016-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090112/trd0901122133016-n3.htm

 ■成果と課題

 講堂開放では与野党を超えた協力態勢があったものの、派遣村に政治色やイデオロギーがちらついたのも事実。5日に日比谷公園から国会までを歩いたデモでは共産党と行動を同じくすることが多い、全労連自治労連街宣車が村民らを先導。「総選挙で政治を変えよう!」「消費税値上げ反対!」とシュプレヒコールを上げる光景もあった。

 実行委員会では、12日までの動きを振り返り、行政側が緊急の小口融資を柔軟に支給した点などを「各地で生活に困っている人にも応用できる貴重な経験だ」と肯定的にとらえる。

 一方で、行政側への今後の要望も多い。村民に行われた、生活保護の受給決定や行政の保護は「当たり前」というのが実行委のスタンスだ。実行委では、今回の派遣村のような一時避難所を行政もかかわって全国につくることや、大企業に再就職支援のための基金設置などを求めていくという。(赤堀正卓、神庭芳久、蕎麦谷里志)

くるかなくるかなとワクテカしていたらやっぱりきましたねえ。ずーっと配信記事そのままといった無味無臭な内容が続いていたけれど(そりゃ平民がどう苦労しようが天皇陛下在位20年の特集をするほうが先決だもんね産経的には)今回は本領発揮というよりも触り程度の派遣村糾弾まがい記事でした。いまはまだこの程度だけどこういった助走的観測気球記事を書くのは産経ではよくあること。読者は配慮してくれないと。そして記事の最後に「ご意見募集」としてEメールアドレスが書いてあることからおそらく読者からの声として派遣村糾弾の声を載せるんだろうな。で「いやーこれは読者からの声でウチがいったんじゃないですよ」というエクスキューズ丸出しにしつつ、それを元に更なるマッチポンプ的な記事を仕立てると。最後は曽野のアヤヤが登場して「アフリカでは」とひとくさりぶって〆る。そんな予想をしております。今後の展開が楽しみです。*1

今日友人と話していて気づいたのは、私は雇用流動性をはかるならばセーフティネットの充実は不可欠であり、そこを削りまくっていた行政はそのツケをきちんと払うべきなのだという考えであり、だから派遣元や派遣先企業を糾弾するというよりも、そもそもそこをなんとかしろよといいたいのだけれども、その辺を誤解して「なんで企業を糾弾しないんだ」と文句をつけてくる人とは、もうかみ合わなくて当然かもしれないということだ。ただ困るのはセーフティネットの充実に背を向けてひたすら派遣村や「もやい」叩きにあくせくする人だ。セーフティネットの充実をはかる(BIも視野に入れつつ、個人的には高負担高福祉でいいのではないかとすら思っている)ことは、誰にとっても困る話ではないのにな。それこそ明日はどうなるかわからないのだから。

■追記 観測気球その2

【Re:社会部】「派遣村」の何だかなぁ…
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090113/trd0901132102017-n1.htm

東京・日比谷公園の「年越し派遣村」。総務省坂本哲志政務官が放った「本当にまじめに働こうとしている人たちか」という発言が猛反発を受けています。

 派遣村を取材してみると、本人の就労意志に反して、職ばかりか住居も追われ、途方に暮れている“村民”が多くいたことはすぐに分かります。

 村全体を見れば、坂本政務官の発言は「不適切」と言わざるをえません。

 しかし、「何だかなぁ」と思うシーンが取材中にいくつかあったのも確かです。

 1つは「厚生労働省の講堂の開放、勝ち取る!」という学生運動ばりの用語。勝ち負けの問題でしょうか。

 さらには、一部村民らが厚労省幹部に訴えた「宿泊所の電気がついたままで熟睡できない」「大人数での睡眠はプライベートがない」「自由に水が飲めない」といった要望。「生活保護は当然の権利だ」という発言もありました。

 確かにそうでしょうが、何も威張って大声でガナリ立てなくても…。

 揚げ句が日比谷公園から国会までのデモ。

 「憲法を守ろう」と書かれた街宣車に先導され、「総選挙で政治を変えよう!」とシュプレヒコール。いつも国会周辺でやっている特定の政治色を鮮明にしたデモそのものでした。(卓)

*1:こういうことを書くと「お前は所詮派遣村関連記事をそんな風にしかみてないのか!?あら捜しがしたいだけだろう」と妙な横槍を入れる人がいるのだが、産経がこういう記事を書かないというのは私にとっては太陽が西から昇り始めるようなものなので、この手の記事がでてくるとああ産経は産経だなと妙な安心をするだけなんです。イチイチ本気で怒っていたら(もちろん腹が立つことは非常に多いけれども)産経新聞なんて購読できませんよ。せめて産経劇場を笑いものにしてやろうじゃござんせんか。