合祀は天の意思にあらずか

この時期に朝日日経毎日といったところからA級戦犯合祀反対論に関する側近ないし侍従メモ談話が発表されるのは、実に興味深い。例によって朝日日経毎日といったサヨク売国マスゴミによる総理参拝阻止への陰謀ニダという見方をする人が2ちゃんないしblog界隈では見受けられるけれども、もっと違う図式があるように、私には思える。

そのあたりはこれら側近侍従の証言、いうならば宮内庁側の資料が私の知る限りすべてA級戦犯合祀反対論であること、そして発表媒体の新聞社が皇族系のスクープ(一例:朝日による秋篠宮紀子妃殿下ご懐妊ニュースなど)をだしていることを考えるとおぼろげながら見えてくるように思える。合祀以来天皇家のご参拝がたえているのはその証左であることを宮内庁は匂わせているのではないだろうか。(勅使をおくりながらもご親拝がないのは、天皇家の強い「意志」を感じさせる)また上記資料に反対の立場をとり事あるごとに天皇陛下によるご参拝の実現をと訴える産経新聞が、神社本庁と縁の深い日本教育再生機構と密接なつながりをもつことを考慮すると、「天皇陛下のご参拝を実現させたい」神社本庁VS「参拝には消極的かつできれば避けたい」宮内庁の対立構図が浮かび上がってくる。今回の件は神社本庁に対するある種の牽制であると私は考える。

靖国神社の成立性質その他を考えるのならば、A級戦犯の中に軍人でもなければ戦死もしていない人間が含まれている以上、とても合祀に整合性があるとはいえない。1970年に総代会において合祀決定がなされた後8年間も宮司預かりになっていたことは「より高次からの意思」を感じさせる。合祀を行った松平宮司は、いま手元に資料がないため正確には指摘できないのが非常に残念だが、東京帝大の皇国史観を研究するグループに端を発する人々の中から推挙されたそういう意味ではイデオロギー色が強い人物であり、語弊を恐れずにいえば「合祀を行うために選ばれた」ともいえる。(そう考えれば遊就館設立も必然であったといえる)そこに神社本庁の介入はなかったといえるのか。

宮内庁神社本庁の綱引きは、天皇家の中立性を揺るがすもので、好ましいとはいえない。いつまで続くのだろうか。ため息しかでてこない。陛下が政治利用されるのがいちばん悔やまれることである。