そうはいってもとりあえず「国籍法改正」について自分的なまとめでもつくるか。

河野太郎議員のサイトからのコピペ。

Q.最高裁違憲だといっても、国籍法を改正する必要はないのではないですか。

A.最高裁違憲判決が出て、国籍法の第三条が違憲であるということが確定した時点で、認知届けが受理された子供の国籍取得届を却下することはできなくなります。

そのため、法改正をして国籍届けを受理する必要があります。もしも、何らかの理由で法改正ができない場合は、そのまま届けを受理せざるをえなくなるかもしれず、法律的に安定しません。政府としては、そういう状況を避けなければなりません。

Q.この改正案が成立すると日本国籍を取るために偽装認知しやすくなりませんか。
外国人女性がホームレスにお金を渡して認知届を出させるだけで、子供が日本国籍を取ることができるようになったりしませんか。

A.ホームレスにお金を渡して届けを出させればといえば、改正前のルールでも、お金を渡して認知届けと婚姻届を出させれば国籍が取れてしまうということになってしまいます。現実には、事情を聞いて認知届けを受け付けるかどうか審査をしていますので、単に誰かに頼んで届を出させただけではそれは認められません。

この改正案が成立しても、認知届けを出せば簡単に日本国籍がとれるわけではありません。
認知届けが真正なものかどうか、父親と母親を別々に呼んでの審査等がありますので、実態がない認知届けによる国籍取得が簡単にできるわけではありません。

Q.偽装認知により国籍を得た後で、認知が偽装だということがわかったらその国籍はどうなりますか。

A.認知が無効であれば、それに伴う国籍取得も無効になります。認知が偽装であったことがわかれば、国籍取得も無効になりますから、国籍はそもそも最初から与えられなかったことになります。

Q.偽装認知による国籍取得の罰則が一年以下の懲役または二十万円以下の罰金というのは軽くないですか。

A.偽装認知により国籍を不正に取得することに対する罰則は、まず認知届を市町村に出すことによって公正証書原本不実記載罪、法務局に国籍取得届を出すことによりこの改正で新設される罰則、子の戸籍を編成するために市町村に国籍取得届を出すことにより、公正証書原本不実記載罪に再び問われ、併合して七年六ヶ月以下の懲役または百二十万円以下の罰金になります。

Q.この国籍法の改正で、日本も二重国籍を認めることになるのですか。

A.今回の国籍法の改正は、二重国籍とは全く関係ありません。

http://www.taro.org/blog/index.php/archives/946

◆実は以前から最高裁判決で問題がある旨の補足意見がつけられていた。

国籍法違憲判決の検討
http://bund.jp/modules/wordpress/index.php?p=199

この規定(国籍法3条)に関しては、以前から最高裁判決でも「一応は合憲としとくが問題があるから次までに直すように」みたいな補足意見が添えられていたものです。今回の東京地裁判決はこういう流れにそったもので、決して最高裁の見解に真っ向から反した「勇気ある判決」ではありません。むしろ国籍法3条の「立法趣旨」は肯定しつつ、そこからはみ出る「行きすぎ」た運用を諌めたもので、国籍法3条に反対する立場からは不充分で「穏健」なものです。この程度の判決なら、近年中に最高裁も出すであろうことが予想された範囲におさまっています。

だいたいが「胎児認知」なんて普通の人は知らないですよね。知っていたとしても、手続きがかなり面倒なようです。やはり別のフィリピン人女性と日本人男性の間の子について、男性がちゃんと区役所にも出向いて胎児認知する旨を口頭で申請したにもかかわらず、役所で指定された手続きが煩瑣なため、それを完了させるべく東奔西走したが必要書類すべてを出産までに入手できず、結局は胎児認知の手続がないとして日本国籍を拒否された(!)という驚くべき「お役所仕事」のケースがあります。

本判決で問題となっているのは、「子が生まれた後に、日本人父が通常に認知した」ケースです。このような場合でも、戦前の旧法では認知した時点から日本国籍を取得することが可能でしたが、現在では(帰化申請をする以外に)国籍を取得する方法はありません。

そして現在、このケースが非常に多いのです。そのほとんどはアジア人女性と日本人男性の間に生まれた子というパターンです。つまり国籍法3条1項は、このような母子を「外国人親子」として放り出す役割を担っています。と、いいますか、むしろまだ認知してもらえるケースは良いほうなのです。こうして裁判所に提訴してまで「父親の責任」を果たそうとする日本人男性がいる反面、たとえば妻子ある日本人男性に優しくされ、執拗に口説かれた末に関係を持ったが、妊娠したとたんに冷たく捨てられるとか、そこまでいかなくとも妊娠とともに「恋愛関係」を終了させ、認知さえせずに逃げてしまう男性も多い。中には「勝手に産んだ」とか「ちゃんと毎月金を渡していた」とか言って逆ギレするおじさん達も多いといいます。たかだか数万円の生活費を渡していたに過ぎないこういう「中途半端な金持ち」が、自分より弱く貧しい者に「金さえあれば何をしてもいいんじゃ」的な態度をとることの傲慢さ!その醜さよ!

こうしたアジア人女性の中でも、本件の原告の母親のようなフィリピン人女性は、国がカトリックである中で育っているから堕胎などに対する罪悪感は日本人が考えるよりもはるかに強く、また女性が家族を支えるために犠牲となって我慢強く、一言の文句も言わずに働く風潮があります。とりわけ家族親戚の生活を貧困から支えるため、違法覚悟で観光ビザで来日し、過酷な条件の下で働いている女性はなおさらです。

実際に本件で問題となっている国籍法3条の規定により、日本人の子でありながら日本国籍を取得できなかった子が、母子ともども強制送還された事例が報道されたことがあります。(朝日新聞・96年5月3日朝刊)。子どもは6歳と3歳の2人。日本人の父が死亡してしまい、残された母は入管に逮捕されてオーバーステイで有罪となりましたが、一度は仮放免となって職を得、子どもたちも地域の保育園に通い、上の子には小学校から就学の通知が届きました。母は子供の入学式の準備を進めると共に、法務省に2度にわたって在留特別許可を申請しました。きっと子供の喜ぶ姿を見ながら必死だったと思います。しかし申請は2度とも却下され、まさにその小学校の入学式直前に入管当局は母子ともども3人を収監し、強制送還したのです。

◆よくコピペされるドイツの偽装認知について。

797:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! :2008/11/16(日) 01:33:16 id:O2fBgWKsO
まあ、冷静に読んだら、ドイツは父親認知の廃止に踏み切ったんじゃなくて、行 政機関に認知廃止手続を認め、罰則をもって偽装に対処することにしたわけだか ら、全面的に父親認知に反対する連中が根拠に引っ張ってくるのは変な話だな。

誰かさんみたいに外国人女性との間で子を作るななんていうアタマの悪すぎる主 張は、反対派の中でもさすがに論外なのだろうけどさ。

800:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! :2008/11/16(日) 01:37:49 ID:4WFiWTv50 [sage]
>>780
そのコピペのドイツ報告って続きがあるんだよな
民法典の改正により、父子間に社会的・家族的関係が存在しないのに認知によって子や親の入国・滞在が認められる条件が整うケースに限 って、父子関係の認知無効を求める権利が管轄官庁にも与えられることとなった。」
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/23501/02350112.pdf

つまり最初の法律は問題があったらから追加で修正法案をつくって問題を是正したとある。
んで、今回の日本の国籍法には最初からドイツの追加法案にあるような審査条項 はすでに盛り込まれてる。

反日右翼】新風連と新風をヲチ33【麻生は売国
http://pc11.2ch.net/test/read.cgi/net/1226391103/

まとめサイトができていた。たいていの疑問はここで解消できると思う。

国籍法改正wiki
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/12.html

◆あとはコメント欄でいただいた資料。

# いしけりあそび http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi
# ○○○!知恵袋 国籍法は改悪なんでしょうか? 2008/11/16(日) 午後 9:44
# http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/55815187.html
# どうしてもDNA鑑定が気になるけど、冷静に、法的な思考をする準備はあるよ、という方へ。 2008/11/18(火) 午前 1:45
# http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/55832025.html

# la_causette http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/
# 国籍法3条1項の改正に反対することはエネルギーの無駄である 16/11/2008
# http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2008/11/post-7b2f.html
# 国籍法改正問題とDNA鑑定 17/11/2008
# http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2008/11/dna-ee0c.html
# 国籍法3条1項を合憲限定解釈した件の最高裁判決の事例 18/11/2008
# http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2008/11/post-bbc6.html

とくにいしけりあそびさんのブログはこの案件に係わった弁護士さんだけあって大変参考になります。阿比留ンがケチョンケチョン(死語)にされていたりした。阿比留ン…。

あと小倉秀夫先生におかれましては、わざわざ拙ブログにお越しの上、反論までしていただきまして、まことにありがとうございました。

◆付記 ドイツの件について「いしけりあそび」さんからコメントを頂いたので掲載。

上記のドイツの例について「いしけりあそび」先生からコメントを頂きました。ご多忙の折拙ブログのようなところにご丁寧にコメントを頂きましたこと、心から御礼申し上げます。

少し整理してみます。ちなみにドイツの(1)については、原典をあたっていないので、国会図書館の刊行物を参考にしています。

1 ドイツの例

(1) 民法
血縁関係がなくても社会的な親子関係〜おそらく扶養の意思や事実でみるのしょう〜があれば、認知が可能。

(2) 国籍取得〜血統主義
ドイツ人父の出生後認知で国籍取得

(3) 国籍取得〜生地主義の補足
両親が外国人でも、いずれかが8年間以上合法的に滞在して、かつ永住とって3年経過していれば、出生と同時に子どももドイツ国籍を取得する(これと認知の絡み〜つまり適法滞在8年、永住3年の外国人父が生後認知した場合も国籍取得をするのか〜については調査していません。)

(4) 偽装防止
認知が正当でない〜血縁関係もなければ社会的な親子関係もない場合〜について認知無効の請求権が管轄官庁にも与えられる。

2 日本の場合

(1) 民法

? 血縁関係がない認知は無効。
? ただし、認知をした父は取消請求はできない。かって気ままな認知で子どもの立場が不安定になるのを防止する趣旨です。
? では認知をした父は無効の主張はできるか。できない説(できるとすると取消しを認めない趣旨がなくなるではないかという理由)と、できる説が対立していますが、できる説が最近の判例の趨勢です。
? ただし、外国人の認知の場合、無効を認めるには日本法と外国法の双方で無効が認められる必要があります。外国法には認知の無効を認めないものもあるので、結果として無効の主張ができなくなる場合もあります。
もっとも、外国法の適用も「公序」に反する場合は排除されるので、たとえば単なる移民の方便のためにした認知などは、認知無効を認めない外国法が適用される場合であっても、なお無効の主張が認められるのではないかと思います。

? なお、ドイツの(4)のような制度ですが、今後は無効の主張ができる者のなかに「公益の代表者」としての検察官が含まれるというように解釈されるでしょう(今まであまり議論されていない)。ただし、その場合も、たとえば連れ子認知のようなケースを、血縁関係がないと言って取り消すのが「公序」「公益」の観点からどうか、という議論はあるでしょう。

(2) 国籍取得
このたびの改正で、父の生後認知で国籍取得。

3 このように、日独の制度は、大きく異なり、ドイツは、改正法以後の日本よりもはるかに柔軟に国籍取得を認めているので(少なくとも国会図書館の調査を見るかぎり)「ドイツで起きた偽装」を参考にするには、具体的な事例をみないとなんともいえない、というのが私の感想です。
いずれにせよ、ドイツも、生後認知による国籍取得に際して、DNA鑑定を義務づけてはいません。

4 日本の偽装認知

私が見知っていることは以下のとおりです。

(1) 偽装結婚でビザを取った人はある程度知っている。ちなみにその場合は、嫡出推定が及ぶので、子どもは日本人と血縁がないのもふくめて日本国籍を取得しています。

(2) 偽装認知は、チャレンジしたひとは知っていますが、実際にビザまで取ったのは知らない。国と裁判をした際にも、週間朝日の記事で「こんなひとがいるらしい」は出てきたけれども、ビザまで取った事例(取って、その後取り消された事例)はまったく提出されなかった(あれば提出しています。)。
ただ「人身売買」がどうのと違って、偽装認知そのものが皆無とまでは断言できません。
(なお、私は「偽装認知」ということばについて、認知無効を認めない法制度の国がからむ場合は、単に血縁関係がない認知ではなくて、親子関係を作るつもりのない、ビザ目当ての認知という意味で使わざるを得ないと思っています。そのため「連れ子認知」は除いています。なお「連れ子認知」のケースでは、母は日本人の配偶者として、その子は認知をされなくても連れ子としてビザが取得できるので、在留を目当てにした認知しているわけではありません。)

(3) (1)が成功して、(2)が(少なくとも「なかなか」)成功しないのは、審査の実際を考えれば理解できる。入管も父から認知されたというだけで、母と子にホイホイビザを与えているわけではなく、父に電話をしたり、知り合った経緯、別れた経緯等を根掘り葉掘り聞いたり、母子手帳に残された筆跡(母が日本語を書けないので、父がいろいろ書いているケースが多い)と母の持っている父のメモとの筆跡の照合、写真、養育費の請求状況なども調べて、怪しい場合は締め付けています。

(4) なお、認知は、無効の主張ができるとしても、裁判をしないと戸籍の記載を抹消できないので、お手軽に離婚で解消できる偽装結婚に比べると、協力者もみつけにくいです。

5 偽装認知議論について

(1) 一般論ですが、法制度は、各国によって違いがあり、また法律は運用次第で大きく適用結果が異なるので、国際比較をするには慎重さが必要と思います。
(2) ビザ目的の偽装認知については、動機としては改正前の法律のもとでもあったでしょう。今後は法務局と入管の二重チェックになるうえ、罰則も重くなったので、以前よりもやりにくくなるでしょう。

(3) いずれにせよ、不正の可能性をもって正当な権利の行使を妨げるには、「抽象的なおそれ」ではなく、相当強い根拠が必要です(まあ、ペログリの人は「罪無き子供を奈落の底へと突き落とす蓋然性が極めて高い」といっていますが)。「権利」が国籍取得のような基本的な権利である場合はなおさらです。
どうも、法案の趣旨が、議論のさなかで顧みられず、あたかも偽装認知防止法案のような議論になっていることについては、とても残念な気がします。

※「法務局と入管の二重チェック」というのは、子の国籍取得の際に認知の真実性について調査され、母の在留の審査の際にも(この場合の母は不法滞在者を想定しています。適法滞在の外国人母の場合は、子も適法に滞在できるので、メリットもないのにわざわざ偽装認知をする人はいないです。)調査される、という意味です(自分のブログにも書きましたが)。

文字化け?と思われる箇所もあるがそのまま掲載させていただいた。