企業・団体の献金を一律廃止するのは「正しい」とはいえないだろう。

小沢代表、企業・団体献金の全面禁止を主張

 民主党の小沢代表は17日の記者会見で、西松建設の違法献金事件を受け、企業・団体献金を全面禁止し、個人献金に一本化すべきだとの考えを示した。

 党内では、公共事業受注企業からの献金禁止を求める声が出ているが、小沢氏は「ほとんどの企業が何らかの形で(国や地方自治体と)関係あるので、禁止ということなら、企業・団体献金の禁止を徹底しなければ意味がない」と指摘。そのうえで、「政治団体も含め、すべての企業・団体献金を禁止するのが一番すっきりする」と語った。

 「民主党が政権を取ったら、国の統治機構、政治のあり方を変えるので、当然、政治とカネの問題も取り上げる」とも強調した。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090318-OYT1T00218.htm

この発言そのものについては、「小沢代表の逆ギレ癖がでたな」ぐらいにしか思っていなかったが、公約にするようだ。民主党のいつものええかっこしいですかね。

クローズアップ2009:企業献金禁止論議開始 民主、選挙公約化も
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20090320ddm003010164000c.html

しかしこれに左派系(除く共産党)の人たちが賛成していたりするのをみると実に奇妙な気持ちになる。どう考えてもこれで不利益をこうむるのは社民系や共産党以外の革新系といった議員じゃないかね。企業といっても当然建設会社ばっかりが献金していることもなく、カタログハウス社民党献金してるのだって有名な話。支持団体の労組から献金受けている議員も少なくないし。

企業献金 民主『全廃』に 賛 自民と違い鮮明に 否 労組も対象は困る
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009032002000084.html

 企業・団体献金の全面禁止は、党内の意見も二分している。中堅・若手に賛成論がある一方、労働組合出身の議員には慎重論が根強い。労組からの献金も閉ざされるからだ。

 小沢氏を支える党幹部も、必ずしも全面的に賛成していない。日教組出身の輿石東参院議員会長は十九日の記者会見で賛否を明らかにしなかった。

というわけで、こういう話が出てくるのも無理からぬことですな。でもコイツにだけはこんなこといわれたくないね

では、企業献金だけやめて団体だけにすればいいじゃないか、となるかもしれない。でもねえ、思い出してくださいよある団体が自民党へ29億も献金していることを。*1団体だって労組から前述の団体から「宗教」がつくものまで、まあなんですか「いろんな団体」があるわけでして、それらを十把一絡げに扱うことになると息の根がとまるのはなにも「疑惑」議員だけではない。そもそも「団体献金」だけ残すとなれば、また企業がダミー団体を作って献金するシステムを構築するのは目に見えているので残すわけにはいかない。こう見ていくと献金廃止したところで結局のところ現状の「金のかかる選挙」を生き延びられるのは、地盤の安定した二世三世議員か、スタンドプレーでマスコミにもてはやされ個人献金を集める議員*2ということになってしまう。衆愚政治が加速しますなあ。

このように考えれば企業・団体の献金一律廃止はメリットよりもデメリットのほうが多いということがわかろうというもの。とはいえ野放し状態というのもどうかという話にはなる。そこで現状よりも厳しく献金額の上限を設定しろという意見がでてくるかもしれないが、それだって所詮、今と同じように分散して小口献金していけばいいだけのこと。あちらをたてばこちらがたたず。そんなこんなで個人的にはこの現状を解決するには二つしかないように思っている。「透明化」を徹底させるか、イギリス的な「金のかからない選挙」へコペルニクス的転回をはかるか。

まず後者は「地方選挙にいくつかかかわった人間」としていわせてもらうと、ほぼ不可能といいきって問題ないように思う。「金のかかる選挙」を少なくない人間が望む以上意識改革からはじめるというのは確かに理想論だが即効性には著しくかけるし30年40年という長期スパンからみても実現できるかどうかはわからない話だ。そんなあやふやなものに乗っかるよりも、ダミー団体の摘発といった「透明化」を促進させて、裏金を徹底的に取り締まるほうがまだ有効のように思える。なにせ「透明」になれば、あやしいところから受け取っている議員には投票しなければいいだけだし。まあどちらにしろ「胡散臭いやつには投票しないよ」という有権者の意識をより高める必要があるからとどのつまりは「おまえらしっかりしろよ」という話にはなってしまうのですが。

それにしても「企業献金」という話題になったとたん上記のような誰でもぱっと思いつく話がすっとばされて即「悪」みたいな1ビット思考になるのか、よーわからんです。よい面もあるし悪い面もある。それならば「悪い面」をなくすようにし、「よい面」を伸ばすようにする。それが近代国家のあり方ってもんじゃないだろうか。

◆追記。

共産党がこんなことをいってますな。

企業献金廃止「まず小沢氏から」 共産・志位委員長
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090319/stt0903191632003-n1.htm

悔しかったらおれらのように党員からのお布施だけでまかなえよってことでしょうか。今後は共産党、某シナノマチ系団体だけではなく、自民も民主も折伏合戦に絶賛参戦中ってことですか。いやな世界だな。勘弁してください。まあ珍味購入費がいつの間にか与党の腹下しの飲む「気のこもったお水」へ化学変化するよりはマシかもしれませんが。とまれ、だんだんワーストブログインジャパンさんのいうことが現実となって↓きた、ということでしょうか。

全国200万党員倍増計画
http://worstblog.seesaa.net/article/115772124.html

*1:「会員企業の献金だから企業献金」といわれたらどうしよう。

*2:タレント議員含む。どっちにしろ注目が集まれば大衆の中でだまされるやつが(いまだ衰えぬ小泉人気とやらを考えれば)容易に想像がつくだろう。