いやあいい感じでクソいドラマでしたね「歸國」は

見終わって正直ここまでクソドラマだとは思いませんでしたってのがまず第一の感想という凄いドラマでした。思わず(同じようにこれをみていた)友人に電話してニ時間ぐらい意見交換して、帰ってきたミッチェル捕まえて(今日は明日の靖国のために実家に戻ってます)さらに一時間ぐらい糾弾大会してました。それぐらいクソいドラマだったっつーことです。たぶんあと三時間ぐらい「このドラマがどれだけクソいか」について語れると思う。ほんとそれぐらい酷い。

見ていて矛盾点が満載で、例えばICUかなんかに入院している「英霊」ビートたけしの妹(老婆)が延命治療受けてて、「英霊」たけしが「こんなのをやめろ」っていうとか、そしていきなり現れた見知らぬ少女(入院患者?)が一方的に「私も一緒に行くから」といって延命治療器具を止めてしまって老婆ヌッコロしちゃうとか。「英霊」小栗旬が好きだった少女の元へいくとその子は八千草薫になってて、その上、来たばかりの英霊に「私が教えていた子供たちは歌うことができなくなっていた、メールばかり打っている」と愚痴ったり(年齢を逆算しても八千草薫が教えてた子どもっていまの60代かどんなに甘く見積もっても一番若くて30代頃じゃないか?その頃にメールなんかねえだろ。それに「英霊」に「メール」とかいってそもそも「その仕組み」自体わからんじゃねーの?)、「英霊」たけしが携帯電話を何の疑問もなく覗き込んで納得してたり。(フツーまずは「なんだあれ?」ってそこの説明からはいるだろ)そうかと思うと「現代文化」にいちいち驚いたりと一貫性がない。まあそもそもラッツ&スターじゃないんだから、顔を黒く塗れば「日に焼けたギラギラした食い詰めた日本兵」の雰囲気が出せると思っている時点でどうかと思うがな。あんなに「清潔」で「肥えて」「身なりの整った」「歯の白い」「無精ヒゲひとつない」そのわりには「よれよれの軍服」を着用した兵隊姿でリアリティが出るとか思っているのがどうかしているけど。登場してまず大笑いして、あとはひたすらツッコミ大会でした。ツッコミどころ満載で反射神経が鍛えられる筋力強化ドラマかもしれない。

与太はさておき。

見ないで書いた前エントリーが全く外れないってのが号泣させるじゃないですか。実はあのエントリー、一週間くらい前に書いたtwittermixiボイスの内容をまとめたもので、結構「見もしないであらすじや倉本聰氏のコメントだけでこんな適当な事書いて外れてたら恥ずかしいな」とか思っていたんですよ。それがまさかねえ。で、この「まさか」がこういうクソドラマ/映画とかで外れないから困ったもんだ。(同様の事例では「南京の真実」とかがあります)そんでさらに「こんなオチだったらどうしよう」と思っていたらそのとおりでさらにもう泣く涙すらなくなりました。長渕が「むかしはよかった」とかいったら、そんなベッタベタな展開、腐っても倉本聰、まさか「日本は豊かな国だけど心が貧しい国」とかいいだしたら、いやそんなことはあるまい、などと思っていたらまさに猫まっしぐら。あまりに直球ど真ん中赤ちゃんにもわかる安心展開過ぎて一緒に見てた家族は寝てました。

一から十までネタでしかなく、「英霊」たけしが不肖の甥役(東大教授で金融アナリストで内閣顧問っつー少年ジャンプもびっくりな超設定。フツーは内閣顧問とかする場合東大教授は辞任すると思うけど…)石坂浩二をぶん殴って恥を知れと罵ると「(殴ってくれて)ありがとうございます」とまるでどこかの都知事の団体が喜びそうな体罰礼賛とか、靖国神社公式参拝しない政治家に「英霊」が怒りをぶつけたり(それよりも無駄死にさせた指導者と合祀されていることに疑問を持たないのか?)政治家による靖国参拝をただ「ネタ」にしかしないマスコミを批判したり(いつマスゴミ呼ばわりするかとヒヤヒヤ)なんつーか明日にでも産経本紙に正論メンバーズとしてデブーしてもおかしくない「ボクら少国民」ぶりでしたわ。くそ!あげつらっていったらまだまだつきないんだけど、ふと冷静になって考えてみるに。

それにしても一つのドラマでこれだけアレコレ考えたのもずいぶん久しぶりといえば久しぶりである。もしかしたら、これは「宇宙との交信大好きな」倉本聰氏がチャネリングかなんかして、大宇宙の意思と交信し、「自らの身は顧みず」泣いた赤鬼となって、「戦争についてより考えさせるために」あえてあんなバカドラマに仕立てたのかもしれない。そう思うとサラリーマンNEOまんま演技の生瀬とか、妙に白い長渕の歯とか不明瞭なセリフとか、ARATAの妙ちきりんかつ意味の分からない設定とか、投げっぱなしで海を写して終わりのラストとか、むしろいろんなサインというか、あえてああいう選択をした故意犯であることをこちら側に伝えんとする倉本聰氏の深謀遠慮の結果という気がしてくる。見た後で五時間ぐらい語れるドラマって最近見た事なかったし(元々私がドラマを滅多に見ないというのはもちろんありますが)。だんだん「クソい」よりも「スゴい」という形容詞の方があう気がしてきた。「プライド」にならぶ「深読み」ケッ作とも思えてきた。

そんな結論を得た私は、TBSにお願いをしたいのであります。このドラマを一刻も早くソフト化して販売する事。で、今回見られなかった人たちに如何に「スゴいドラマ」だったかを知らしめてほしい。それこそ「本当の意味で戦争を考える」きっかけになる。必ず。頼みますよTBSサン!