mixi事務局がありえないくらいの大馬鹿だった件について

朝、町山さんのブログを見たらとんでもないエントリーがあがっていた。

町山さんの日記:ミクシイはあなたの日記をあなたに無断で商品化します
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20080303

運営からのお知らせに規約改定の件が表示させられていることは知ったが、まさかこんなことになっていようとは。俺って馬鹿だなあとすぐ私のmixi日記に以下のようなエントリーを書いた。

以下4/1より施行される新利用規約を抜粋。

第18条 日記等の情報の使用許諾等

1 本サービスを利用してユーザーが日記等の情報を投稿する場合には、ユーザーは弊社に対して、当該日記等の情報を日本の国内外において無償かつ非独占的に使用する権利(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、翻訳、改変等を行うこと)を許諾するものとします。

2 ユーザーは、弊社に対して著作者人格権を行使しないものとします。

附則

2 本利用規約の施行前にユーザーによって行われた行為についても本利用規約が適用されます。

2次利用で儲けようってか。確かにネタの宝庫ではあるのだろうから、誰でも思いつく話だが、人のふんどしで(しかも著作者に金払わないですむように利用規約を改定してまで)儲けようとするのはなんていうか浅ましいの一言です。この経緯ライブドアのときとかgeocitiesのときを思い出した。まさに歴史は繰り返すっていうか、このテのWEBサービスが一度は通る道なのだろうか?(って上記町山さんの日記ブックマークコメントにも同じネタが書いてあったな。で、そこから上記ライブドアやらgeocitiesのときの経緯をまとめたエントリーを発見。http://mainasu.egoism.jp/ud/archives/2004/11/29/2112-167.html

町山さんの日記へのブックマークコメントに「無料なんだから文句言うな」って書いてあったけど、いやこっちはプレミアム会員だから金は払っているんだよね。微々たるものだけどさ。完全に無料なら確かにその理屈は通るだろうけど、金を払って著作者人格権を放棄するなんてアホらしい。なんというかこんな利用規約にしたらどういう反応がくるか、ライブドアの経緯なんかを見てわからんのかねえ。歴史に学ばないのは愚者の条件ですよ。この利用規約では、「友人までの公開」設定にしているにも関わらず、公表されたり、挙句の果てには出版されてしまう可能性もあるように思えるのだが、mixi事務局もなにを考えているのだか。まあmixiには単にどうでもいいような話を書き連ねていればいいのかもしれないけど、足跡などで荒しとよばれる連中を監視できたりするシステムはよかったりするので、ついつい熱のこもった話も書いてしまったりする。個人的には騒ぎが大きくなって事務局側がこの馬鹿な利用規約を取り下げることを期待したい。もしくはFAQで明確な使用ラインを定めるとか。

もうね、てっきり「はてな」や「ライブドア」なんかのケースと同様にユーザーの日記やコミュニティのオモシロ投稿をボロッと出版して印税ウハウハ狙ってやがるなと思ったわけですよ。でもって、改定反対コミュ二ティも立ち上がってなかったようなので、自分でつくってみたりして。いや甘かった。んですよ。

しばらくしてmixiの株価も下がってきた頃、その波及効果にびびったのかおっとり刀でmixi運営事務局が追記を出してきました。

http://mixi.jp/release_info.pl

利用規約改定に関するお知らせ(追記) 2008.03.04

mixi運営事務局です。

昨日お知らせいたしました 利用規約の改定 につきまして、『mixi』のサービス内にユーザーのみなさまが書き込まれる情報に関する取り扱いに関して多数のお問い合わせを頂戴いたしました。この場を借りてお詫び申し上げます。

特にお問い合わせの多い【第18条 日記等の情報の使用許諾等】に関しまして、誤解を避けるため、当社が想定している具体的な使用について補足説明をさせていただきます。

上記の条項につきましては、ユーザーのみなさまが『mixi』のサービス内で作成した日記、著作物等の情報について、従来どおりユーザー自身が権利を有することに変わりはありません。

また、ユーザーのみなさまが投稿した日記等の情報(公開している自主作成の映像やイラスト、テキスト等)の使用に関しては、当社の以下対応について同意いただくもので、当社が無断で使用することではありません。



投稿された日記等の情報が、当社のサーバーに格納する際、データ形式や容量が改変されること。

アクセス数が多い日記等の情報については、データを複製して複数のサーバーに格納すること。

日記等の情報が他のユーザーによって閲覧される場合、当社のサーバーから国内外に存在するmixiユーザー(閲覧者)に向けて送信されること。

なお、ユーザーのみなさまの日記等の情報を書籍化することに関するお問い合わせもございますが、こちらの点につきましても、従来どおり、ユーザーのみなさまの事前の了承なく進めることはございません。

なお、利用規約につきましては、今後もご利用いただくお客様にご理解いただきやすい内容になるよう引き続き検討してまいります。

以上、何とぞよろしくお願い申し上げます。

で、またこれを受けてIT mediaが記事にしたり。


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/04/news086.html

mixi日記、無断書籍化はしない」――規約改定の意図をミクシィが説明
「ユーザーのmixi日記が勝手に書籍化されるのではないか」――ネットで騒動になっていたmixi規約改定について、「ユーザーの了解なしに書籍化などは行わない」と明言し、改定の意図を説明した。
2008年03月04日 17時35分 更新
 ミクシィは3月4日、前日付けで告知したSNSmixi」の新規約(4月1日から適用)の著作権に関する条項について説明した。「規約改定後はユーザーのmixi日記が勝手に書籍化されるのではないか」とネットで騒動になっていたが、「ユーザーの了解なしに書籍化などは行わない」と明言し、改定の意図を説明した。


改定後の規約
 改定後の規約では新たに、「ユーザーが日記などを投稿する場合、ユーザーはミクシィに対して、その情報を国内外で無償・非独占的に使用する(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、翻訳、改変等を行う)権利を許諾するものとする」「ユーザーはミクシィに対し、著作者人格権を行使しない」という条項を追加した。

 これを知ったmixiユーザーからは「ユーザーの日記を、ミクシィが勝手に書籍化するつもりでは」「写真家がmixi内限定のつもりで公表している写真も、勝手に写真集にして出版されるのでは」といった不安の声が相次いでいた。

 ミクシィの広報担当者はこれに対し、「ユーザーの日記などの権利は従来通りユーザー自身が持ち、書籍化も、ユーザーの事前了承なしには進めない」と釈明。その上で、新条項を追加した意図について、

(1)投稿された日記データなどをサーバに格納する際、データ形式や容量が改変される(ユーザーの著作者人格権《同一性保持権》を侵害する)可能性がある

(2)アクセス数が多い日記などは、データを複製して複数のサーバに格納する(ユーザーの複製権を侵害する)可能性がある

(3)日記などが他ユーザーに閲覧される場合、データが他ユーザーに送信される(ユーザーの公衆送信権を侵害する)可能性がある

――など、厳密に著作権法を適用した場合に、ユーザーに無断で行うと法に抵触しかねないデータの複製や改変について、規約で改めて規定した、と意図を説明した。

 同社は今後、利用規約をユーザーに分かりやすい内容にすべく検討していくとしている。

この説明で確かに納得できることはできるのだが、なんというか、イマイチ腑に落ちないというか、不信感が生じているのは否めない。 mixi運営事務局が本当にこの意図を持っていたとして、なぜ最初から上記のように説明しなかったのだろうか。なんの説明もなく、あの第18条を見た限りでは、ユーザー側が誤解をしても致し方ないのでは?自分たちだけがわかったつもりなっていた…なんてことは有り得ないように私には思える。というか、ほんとにそんなことでこの騒動がおきたとしたら、企業姿勢やSNSサービスに対する顧客意識といったところで根本的に「駄目」烙印が押されてしまうわけだけれども。

でまあ、正直なところ、この追記やらIT mediaの記事を見たとき、結構ショックでした。いやだってさ、「はてな」や「ライブドア」のように、二次使用を睨んで先手を打ってきたみたいな「故意犯」ではなくて、「自分たちだけわかる表現」を「うっかり書いた」ら、「顧客側が大騒ぎしちゃって困るよ」みたいな話で、なんていうか深い考えや、顧客側にたった目線で、なんていう意識よりも「ただで使わせてやってるんだから」「こんなの変えたってわかんねーよ」ぐらいのキモチでいるがゆえの、騒動だったと思う。でもってそこには普段笠原社長がしゃーしゃーとのたまう「自分もイチユーザーとして関わっている以上顧客側の目線にたったサービス提供を」なんていうものは欠片もなく、結局のところこの騒動から得られるものとしては「こんなのよまねえからテキトウに書きゃいいだろ」という安易な見込みでこの騒動を招いた「mixi運営事務局の大馬鹿度合い」であるという、語弊を承知で述べるならば、「故意犯のほうがまだマシだった」という感想が私の中に重石として残っただけであった。こんなんで新しいWEBサービスの可能性とかなんとかお題目を唱えて上場するなんてアホじゃねえか。あーあ。