靖国神社・遊就館は春まっさかり!でした。

ハルの連休になんもせんのは寂しいので桜の開花宣言がだされた今日、桜の開花指標である靖国神社へいってきまんた。

目的は遊就館で上映されるドキュメント映画(原文ママ)「私たちは忘れない」。プロパガンダとしては優れているとの評を読めば期待がイヤが上にも高まるじゃないですか。展示物見学もかねて有志をつのり参戦すますた。

九段下の駅に降りてすぐ、着崩しというにはあまりにも大胆に袴姿をエンジョイされている女性を見かけました。アレなら着ないほうが…等々の感想を囁きつつ手に汗しながら遠く歩き去る彼女を見つめておりました。ふと見れば帝京大グループ合同卒業式。ああそんな時期なのねん。とはいえ、この女性の袴の着こなし方がこの日一日を象徴していたように思えます。啓示はいたるところにあるのです。

まあこんな感じのいろんな意味で馥郁と春繚乱な靖国神社境内ですが、集合時間から上映開始までに間がなかったのでいろんなものをすっ飛ばして一直線に遊就館へ。おっさんらが受付に文句をいったりしているのを横目にさっさとチケット買ってソーニュー。上映ホールへ急ぎます。

今回の目玉の一つ(ちなみにもうひとつは絵馬)の「私たちは忘れない」の内容ですが、最初に子供たちの姿となぜか原爆のきのこ雲、そしてなぜかなぜか「フォーエバーラブ」(エンドクレジットの協力に「X JAPAN」の名はなし。まさか無許可…?)が流れる中感極まった口調の女性ナレーター(後半になるに従いどんどん朝鮮中央放送女性アナそっくりになっていきます)が「あの戦争は自存自衛の戦争でした」。なんで「自存自衛」だったかを50分かけてじーっくり拝ませてくれます。まあなんてありがたいんでしょ(棒読み)。明治維新マンセーから朝鮮の独立を助けるための日清戦争から日露戦争へ(でも韓国併合には触れず)三国干渉だのABCD包囲網だのということから通州事件には触れるけど南京事件の「な」の字もでないまま、関東軍は我慢に我慢を重ねた結果盧溝橋事件を仕方なく起こし、真珠湾「攻撃」、そして「負けずして亡国となるは永久の亡国なり」とかいう妄言を紹介しつつ、アッツ島玉砕、と、特攻機の話になって、沖縄戦ヒロシマナガサキもなく突然場面は終戦へ。東京裁判はでっちあげウェッブもパールも間違いだったと認めたよ、マッカーサーも自存自衛の戦争だったっていってたよと流した後は「戦争の生き証人」たちの証言となる。「靖国で会おうっていったんだから!」とおじいさんが泣いて非常に情緒的なオチで〆るというつくりでした。後半の展開早すぎて頭の中で疑問が浮かぶ暇もないほど。いやー「いかに疑問を抱かせず都合のよい結末を押し付けるか」というプロパガンダ映画のセオリーに見事忠実な作品ですな。徹底的に「どうしてそうなったのか?」の「どうして?」については基本「人のせい」で、都合の悪いところは徹底無視。まさに50分間牟田口閣下の弁明を聞いているような有様。それでも泣いてる人もいました。花粉症がひどかったんでしょう。それはさておき本来はちゃんと内容を覚えておいてきっちりレビューするべきなんでしょうが、不可解にも見聞きした次の瞬間にはもう忘れてしまうというお年を召した方によく見られる症状に襲われてしまいあんまり覚えてないんですよHAHAHAHAHA。「NAVY PILOT」とかかれたおそろいの帽子(自作っぽい)をかぶって証言するおじいさんたちとかは覚えているんだけどねえ。名越二荒之助センセーが何度も何度も画面上によみがえってくるのはちょっとした悪夢でしたが。

で、個人的にどうしても許せなかったのは高砂族(ちなみにアジアを解放しましたと高らかに謳う割には登場する外国人はすべて台湾人です)に正義の戦争だったなんてのを語らせるのはまさに「どの面下げてそんなことできるの?」という思いしかわきおこりませんでした。もちろんこれは映画制作者に対しての憤りですが。ご存知のとおり日本は高砂族等に対し戦後補償を一切行っておりません。(弔慰金や一部給与の支払いはされたけど)そういう状況の中「日本のために戦ったんだ」といわれてもどう思えってんだ?もうひとつ。アッツ島で玉砕した兵士に対しもう無線も壊れているという進言も無視して「よく守ってくれた」と打電させた昭和天皇陛下のエピソードが紹介されるんだけど、確かに陛下の大御心はすばらしいが、でもそういう「建前」やある種の「演技性」を非常に大事にするところが旧日本軍の「駄目さ」を象徴している気がしました。

そういえばエンドクレジット「協力」の中には「毎日新聞」もありましたが(さすが売国新聞、こんなのに「協力」してるなんてろくなもんじゃねーな)ふと思い返せば、あれ?産経新聞ってなかったような…。(龍角散はあったけど)



(とかなんとか書いてたらなんだニコ動にある↑じゃん!なんのために800円払って遊就館にいったんだか…。)

ぐったりしながら展示物を見て回ることにした。

神武天皇から天皇家の歴史をざっとたどり、明治維新マンセー本居宣長の例の短歌とか靖国の歴史、日露日清太平洋戦争へといたる歴史の説明なんかが主です。なんとなく江戸東京博物館の展示と似ている気がする。休日のためかお客さんは多く、イチイチ説明書きに突っ込みを入れながら見ていると、後ろを通る人に嫌な顔をされたりすることが多々あった。だってねえ、インパール作戦に牟田口の名前がまったく登場しないんじゃ一言いっとかんといかんでしょう。大陸打通作戦を紹介するだけしておいてその成果についてあまり触れてないあたりも好感度大。しかし栄光の打通作戦はもっとマンセーしないと全国400万人の打通さんファンに怒られるぜ。白人系外国人の方も結構いて、説明書き読んでどう思ったのかちょっと聞いてみたかったです。帝京大グループ卒業式の関係からか、ホストもどきみたいな格好をしたおにいさんも散見されました。頼むからこれらをみて「俺は歴史の真実を知った」なんて思わないでください。

今回「伏龍」や「甲標的」といった展示物がなくなっていて非常に残念でした。チハたんはあったけどね。まあしかしちょっとあいたスペースになぜかよくわからない彫像塑像を置くのがここの流儀のようで、唐突な片足あげた馬の像(白い肌になぞのうろこ模様があってちょっとキモい)や、石をもつ半そで姿の兵士とか北白川宮の胸像とかがそのへんの隙間にぽこっとあってイイ味をだしている。また入れないようになっている階段の壁に掲げられた絵画(かなりの大作。130×200ぐらいはありそうだった)が非常によかった。こんな感じに戦時中の暮らしをあれこれ描いているんだが、これがまるでヘンリー・ダーガーがフランドル絵画に目覚めたというか根本敬先生がボッシュを目指したというかとにかくいろんな意味でアレを象徴しているとしかいいようのない作品。異様に下手な富士山とか真ん中へんに唐突にシャガール風のよくわからないのが描いてあったりとか、とにかくたまらん逸品でした。

そんなこんなで丁寧にみているとあっという間に閉館時間。帰り際売店をチラッとみれば「最新情報南京事件」とかいうなぞの冊子やタモさんの本とかタモさんのDVDとかタモさんのポスター(←ないない)が平積みのワンブロックをしめてたりなど売店まで見所満載。世界日報の通販でしか手に入らないといわれている「氷雪の門」もここでなら買えるよ!三池監督作品の「平和への誓約(うけい)」を見つけた知人は最後までDVDを手放しませんでした。またじっくり見にくるべきだな。それにしても特別展示「スポーツ選手の戦没者」の告知看板に沢村の名前がなかったのはなぜだ!

ちなみにこの後近くのインドカレー屋でツアーの感想なんぞを話していたんですが、隣にいたホスト崩れ風の帝京大グループ卒業生と思しき男子たちが、「靖国神社なんて日本会議が内部で荒らしているようなものだ」とか「あんな幕屋の布教を黙認したりして…」とかいう話をするたびにピタっと会話がとまるのが非常に怖かったです。襲撃にはあいませなんだ。バカなネトウヨということでどうかお許し下しまし