メリットは「それだけ」

前回、「永住外国人地方参政権」問題におけるメリット/デメリット論のある種のどうしようもなさについて触れた。反響が大きく、こんな腐れブログによくもまあとありがたいというかなんというか。ブクマ数が400超えたのなんて初めてなので、嬉しいよりもキョドる。

さて、前回の記事の様々な反応を見ていると、不可解というかよくわからないものが当然あったりする。例えばこういうトラックバックがきた。

偽善者まるだしぴったんこかんかんでくるくるぱーまですね。

どれだけ上から目線なんだよ。

「自分にとってはメリットないけどそれでも弱者に施しをさずげる

俺様かっこいい!」

ってことをオブラートに包まずにそのまま言ってしまっては、弱者の方も怒るんじゃないか?

http://d.hatena.ne.jp/meiwakoko/20091112

このブログ主だけではなく、このテの「人権?w馬鹿じゃね?偽善者プゲラ」的な反応を読んだとき正直いって、何の意味かよくわからなかった。どうやら私が「人権を守れ」的な観点から「永住外国人地方参政権」に賛成していると思っているらしい。(違っていたらすみません)大変申し訳ないが、むしろ私にはあまりそういう「意識」が無かったもので、「ああそういわれればそういう側面もあるな」と思い至った次第。わかってみれば逆に「政治や地方自治に関心がない人はこういう側面からこの問題をとらえているのか」と興味深かった。(大抵の場合、人は自分の関心のある問題について、他人も自分と同じ視点で考えると思い込みがちだからね)

実は「メリットは?」と聞いてきたやつに私は回答していたりする。

我が国における地方自治の公共性が担保されるから。

聞いた相手はこう答えた。

それだけ?w


より高次の地方政治の実現なんてものには興味が無いらしい。*1国益」をなんだと思っているのか。

この答えを読んであるマイミクさんが“民主主義の根幹に関わると思うんだが、彼には愛国心も郷土心もないのだろうか。 ”とおっしゃってたけどまさにそのとおりで、愛国心愛郷心の足りない人なのねえとしかいいようがない。「メリット/デメリット論」に「安易」にノリたくないと思うのは、結局のところその問いを発する人間が「主語」を明確にしておらず、自分にとってのメリット/デメリットを無闇に「国および自治体」とに直結させているところにある。*2それだけ?という答えに、その辺が凝縮されている。こういう人には「私利私欲を超えた高いレベルでの政治/民主主義の具象化」はどうでもいいのかもしれない。国を憂う心はないのか。で、愛国心愛郷心あふれる憂国の右翼をもって任ずる私としては、メリットは「我が国における地方自治の公共性が担保される」ということにつきる。(人権云々も結局のところここに集約されるのではないだろうか。)それだけ?そう。それだけ。それが「国益」だから。

より広範な声を拾い上げ、地方政治を充実し深化させ、その地域の人々に即した「環境」が具現化してこそ、この国が発展していく原動力となるのではないだろうか。たしかに永住外国人が地方で参政権を得たとしてもドラスティックな変化は期待できないといわれれば、そうかもしれない。しかしこの国の、閉塞した環境に一石を投じ、本当の意味で「開かれた国」へと変化させていくには必要なことだと、私は思う。そしてそれこそがまさに本質的な意味での「国益」なのではないだろうか。

まあもっとも愛国心愛郷心に基づき、本質的な「国益」だの、この国をよくしよう、なんて真顔でいうやつは確かに「偽善者」といわれればそうかもしれない。(個人的には「偽善者」という言葉は微妙にずれている気がするけど)でもねえ、「右翼」がそれを語らなくてどうするのよ?もっとも右翼に限らず、ある種の政治的立場を自任する、公言している人間が、「この国のかたち」を、どうしたらこの国がよくなるのか?ということを論じないでどうするんだ?こういったときに自分の意見を表明しなきゃ右翼/左翼のレゾンデートルにかかわるだろ。むしろこうした問題に口を閉ざしているときに「お前は自称ネット右翼のクセにこういう問題はだんまりかよ?」と揶揄すべきであって、わがニッポンの政治状況をよくしようぜと語っているのに「偽善者」扱いするのは、お門違いってもんですぜ。

今上もこのたびの即位20年記念式典にあたっての記者会見でもったいなくも「私がむしろ心配なのは、次第に過去の歴史が忘れられていくのではないかということです。」「昭和の六十有余年は私どもに様々な教訓を与えてくれます。過去の歴史的事実を十分に知って、未来に備えることが大切と思います。」とおっしゃられた。大御心に従い、私は歴史を学び、歴史修正主義を退け、生活に即した政治を現実化させ、国体と今上の安寧を尊ぶ。その一歩として外国人地方参政権の実施を求めていきたい。ちょっとアレだと思う人もいるかもしれませんが、だから私は右翼なんですよってことでひとつ。*3

*1:前の記事についたコメントを読んでもファナティックな反対派の中には地方政治はおろか、上位法と下位法の関係も理解してない人たちがいるので驚く。関心がないというかよく知らないことに対してどうして断定的に否定できるのかという疑問がどうしても浮かんでしまう。とはいえこうして地方自治に関心が生まれ、結果的に下がりっぱなしの投票率なんかが向上すればそれでいいともどこかで思うのだが。

*2:さらに例の最高裁判例からメリット/デメリットを語る上で必要な前提を導き出すとするならば「禁止を主張する側」が「国、および地方自治という観点」を「主語」として「禁止するとどのようなメリットがあるのか」を語るのが本来的な「メリット/デメリット」論?、ということになる、と思うんだけどね。

*3:ま、ね、これだけ言ってもまだ私のことを左翼左翼言う人がいますけど、そういう人には後藤田正晴氏の言葉をお送りします。「自分が左派扱いされるのは、日本が右傾化し過ぎているのではないのか」