橋下徹弁護士の訴訟対応方法が、面罵するプロ市民とそっくりな件について

橋下徹のLawyer’s EYE の9/7付け「私から皆様へのお願い 」を引用する。

私から皆様へのお願い

光市母子殺害事件弁護団の弁護活動につきまして、日常生活で見聞きする報道、特にテレビ・新聞で得た情報に基づき、弁護団の活動によって、弁護士全体に対する信用を失った、また彼らに品位がないと感じた方のご意見を集めさせていただきたいと思います。私がこれから訴訟対応するにあたり、原告の訴えを退ける重要な証拠として利用させて下さい。
光市母子殺害事件弁護団の弁護活動は、弁護士会に対する信用を害した、品位を失う行為であったを立証するには、世間の皆様がそのように感じたという証拠を集めなければなりません。そしてそれは数が多ければ多いほどありがたいです。
すなわち、今回の弁護団の活動によって弁護士会の信用を失った、また品位を欠いていると考えているのは、私の独り善がりの考えなのかどうかという点がポイントとなります。
弁護士業界の中では、刑事弁護人として当然の活動と考えられ、母子殺害事件弁護人のコメントして「橋下の考えは業界内で笑われる話」だそうですが(ライブドアニュース橋下弁護士は「業界のわらいもの」なのか?)、私は業界内で笑われようが一向に構いません。世間の皆様の声を聞かせて下さい。そして、世間の皆様の声を、裁判所に提出させて下さい!!

これまで、彼ら弁護団に対する3900件の懲戒請求に匹敵する数の、メール・ファックス・電話でご支援のお言葉を頂戴しました。本当にありがとうございます。

今度は、その皆様の声を、裁判所に提出させて下さい!!!

裁判所に証拠として提出しますので、氏名と住所の明示が必要となります。
私が収集したものに関しましては、弁護士としてその管理は厳重に行いますが、裁判所に提出しますので相手方にも渡ってしまいます。
その点をご了解して下さる方、ぜひご協力お願いします。
近日、このホームページ上に、フォーマットを掲載致します。
私の私的な損害賠償事案に関することで誠に恐縮なのですが、原告の訴えを退けるためにも、そのフォーマットをプリントアウトした上で、住所を記載し署名して、橋下綜合法律事務所宛てに返送していただけましたら幸いです。
フォーマットは、2・3週間以内に掲載する予定です。先に、訴状に対する答弁書を作成しなければならず、フォーマット作成に時間がかかりますことご理解下さい。
繰り返しになりますが、私の私的な事案において、郵便代も含め、皆様にお手を煩わせることは大変申し訳ないのですが、皆様の力によって、ぜひこの訴訟を勝たせて下さい!!
お願いします!!

要約すると「みんなー!!オラに元気をわけてくれー!!※個人情報忘れんなYO!」ってことですか。この人、法律家とはとても思えないんですが…(まあ勝訴証拠評論家、または弁護評論家だしな)。結局のところ人頼みかよ。署名お願いします!ご意見をみんなの力で!なんて自分が「チンカス、オナニー」呼ばわりしていたプロ市民の手法まんまじゃないですかね。

光市母子殺害事件弁護団の弁護活動につきまして、日常生活で見聞きする報道、特にテレビ・新聞で得た情報に基づき、弁護団の活動によって、弁護士全体に対する信用を失った、また彼らに品位がないと感じた方のご意見を集めさせていただきたいと思います。私がこれから訴訟対応するにあたり、原告の訴えを退ける重要な証拠として利用させて下さい。

「日常生活で見聞きする報道」等々といってるあたりから責任逃れ感がひしひしと漂いますね。「弁護団が主張していたとしても、それは日常生活で見聞き(ryではないからしょうがない」的なニュアンスですな。これでいよいよ追い詰められたら「報道しないマスコミが悪い」ぐらいのことは言い出しそう。飯の種だからそんなことはまず言わないでしょうが、裁判に負けるくらいならと開き直る可能性もあるな。

光市母子殺害事件弁護団の弁護活動は、弁護士会に対する信用を害した、品位を失う行為であったを立証するには、世間の皆様がそのように感じたという証拠を集めなければなりません。そしてそれは数が多ければ多いほどありがたいです。

どうもこの人の論理展開には理解しかねる部分が多々あるが、世間がどう思うかというのと、3900件もの懲戒請求が正当で根拠があるものがなぜイコールになるのかがわからない。「品位を失う行為」というのなら、特定弁護士に対して「チンカス、オナニー」というほうがよほど「品位を失う行為」であり、リスクを説明しないまま安易な懲戒請求を煽り、しかも自分は手を汚さないとなると「弁護士」という肩書きによるマスコミ露出を考えれば「(橋下弁護士が所属していることで)弁護士会に対する信用を害した」と思われないだろうか。法的手段についてのリスクも説明しない人が法律相談への回答を寄せても、正直、信用しかねる。行列が出来る法律相談といっても、なんの行列だかわかったものではない。

すなわち、今回の弁護団の活動によって弁護士会の信用を失った、また品位を欠いていると考えているのは、私の独り善がりの考えなのかどうかという点がポイントとなります。

そもそも彼の主張は「一審二審で被告人が主張してないことを差し戻し審になっていいだした」ことにあるとするならば、「信用を失う」「品位を欠く」という指摘といささかずれてきはしないだろうか。ネットに流れる「世間の風」は、その多くが「被告人の主張が荒唐無稽であること」「最高裁公判を欠席したこと」「弁護団が信ずる死刑廃止論を推進するために本件を利用している」についてのようだが、そのいずれも事実とはいえない以上、デマにまどわされた意見をいくら集めようとも、結局のところ「マスコミ報道の不適当さ」を指摘するだけではないだろうか。

さて、このような「プロ市民手法」にうってでた橋下徹氏だが、訴訟を起こされてかなりあせっている様子。毎日エントリーをあげているような状況で、これは以前ではありえない更新頻度である。(一日に二回更新したこともあったが、その後は10日以上離れたりしている)彼にしてみれば、まさかテンプレつかって3900件も送りつけると思わなかったんだろうから、(このブログについた擁護派のコメントをみても「システム上不備があったんだから憤るのは筋違い」などと「弁護業務の妨害」についてあまりにも軽すぎる認識をもっているとしか思えない発言をしているし)署名ぐらいのつもりでやるとは…と、「ガチの人」を見切れなかった自分の甘さに、橋下氏も内心忸怩たる思いだろうな。

懲戒請求というのは、ブログへの書き込みでも署名活動でもなく、一人の弁護士の(大げさにいうのなら)弁護活動人生を左右しかねない、また、槍玉にあげられた弁護士はおそらくほかの弁護活動も行っておられるだろうから、抱えている他の訴訟相談案件への波及効果、ならびに多大なる請求がよせられたことによる弁護士会そのものの事務対応の遅滞等も考えられる。それだけ重要なものであることを理解したうえで懲戒請求を立てた人間はどれだけいるんだろうか。「これであいつらをやめさせられる」程度の認識しかないとすれば、お粗末といわざるをない。数だしゃいいなんて、プロ市民の署名活動レベルの認識でどうする。

それにしても、なんていうか橋下弁護士や今回の請求騒動支持者のいう「世間の風」というのは「人任せ」ってことなんでしょうな。2ちゃんねるをみると、追加資料の提出や反論までもよそ様のブログかなにかから引っ張ってこようとしているのが泣かせる。テンプレやら訴訟対応やらどこまで人任せにすれば気が済むんだ?あんたらは。